令和2年度 北海道社会事業協会余市病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 0 11 13 10 28 63 109 224 310 157
 当院は北後志(余市町、積丹町、古平町、仁木町、赤井川村:人口2万8千人)を診療圏とするベッド数170床の公的基幹病院であり、急性期・慢性期・回復期・検診・救急医療(1次~3次)まであらゆるニーズに応えられるよう努力しております。
当院は5診療科が入院診療にあたらせていただいております。令和2年度全退院患者数の割合では、60歳代以上の患者様が全体の86.48%、80歳以上の患者様が50.48%と圧倒的にご高齢の患者様が多くを占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし 35 18.43 13.00 11.43% 81.26
050130xx9900xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 22 25.18 17.23 9.09% 87.41
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし 21 42.00 18.81 9.52% 83.29
030400xx99xxxx 前庭機能障害-手術なし 19 3.74 4.94 0.00% 71.58
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 19 25.26 20.51 10.53% 80.53
 当院は緊急性のある疾患に迅速に対応できるよう、24時間365日患者様の受け入れを行なっております。休日・時間外来院、及び救急搬送後入院となる患者様は内科系疾患でありましても、外科入院の取扱いとなっております(手術の必要な整形外科疾患は除きます)。また、脳血管疾患、多臓器不全、どの診療科に属さない様々な疾患等への対応も外科にて行なっております。
当科の上位は尿路感染(腎盂腎炎)・心不全・肺炎関連疾患となっており、特に誤嚥性肺炎による高齢の患者様の入院が多くなっております。これらの患者様は病状回復後も自立した生活が困難な場合が多く施設の入所等が必要となる場合もあり在院日数が長くなる傾向があります。
 治療は呼吸不全の管理、薬剤投与が中心で、人工呼吸器、NPPV等の機器を活用し、患者様の病態に応じた呼吸管理を行なっております。そして当院の方針として、DPC病院だからと言って、包括になる検査・画像診断を惜しむことなく、感染源・起因菌の特定を早期に行い、適切な抗生剤の選択・投与を行なっております。 肺炎は当院で治療される患者様で最も多い疾患となっております。また、肺炎の急性期治療終了後には回復期リハビリテーション病棟にて在宅復帰に向けたリハビリテーションを行っております。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 17 19.00 11.04 11.76% 72.18
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-内シャント血栓除去術等-処置2:なし - - 4.51 - -
050130xx9900xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし - - 17.23 - -
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置2:1あり - - 33.50 - -
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置2:なし-副病:なし - - 8.15 - -
 当指標では、数値が10未満の場合は「‐」表示としており、当院では心臓血管外科の入院が、各症例別で10名未満となっているため、数値が表示されておりませんが、主に当院かかりつけの腎不全による透析患者様の心原生肺水腫、溢水(いっすい:体内の水分が過剰な状態であり、水過剰とも呼ばれる。溢水状態となった場合、透析による除水処置が必要になることがある)の治療が多くなっております。
 高齢化社会により、糖尿病・高血圧・動脈硬化性疾患の最終像として腎不全は年々増加しております。日本透析医学会の統計調査では、日本の透析患者は32万人を超えたことが報告されております。(2021年の約34万9千人をピークにその後は減少に転じると予想)
 当院でも腎不全の進行を抑制することを目的として、慢性腎臓病教育入院を実施しております。また、透析が必要となった患者様への導入期入院も行っております。透析を行うために必要である透析アクセスの造設や維持(内シャント設置術、血栓除去術、人工血管によるバイパス移植術)も積極的に行っております。透析患者様のかかりつけ医としての役割を果たし、患者様の利便性を高めるられるよう努めております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8
大腸癌 - - - - - 21 2 9
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 - - - - - - 1 8
肝癌 - - - - - - 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 当指標では、数値が10未満の場合は「‐」表示としており、当院ではStageⅠ~Ⅳまで10名未満となっているため、数値が表示されておりませんが、癌症例を病期分類で見た場合、進行癌(Ⅱ期以上)の割合が多い結果となっております。件数は多くはありませんが、胃癌・大腸癌・乳癌等の手術を行なっており、患者様の体になるべく負担がかからないように症状・状態に応じ腹腔鏡下手術を積極的に実施しております。また医師の診断によって、化学療法が治療の主体となる場合には、医師、看護師、薬剤師とともに副作用対策を行ないながら治療にあたっております。大腸癌は全国的にも増加しており、当院でも積極的に手術及び化学療法を行っております。また、札幌等の大都市での初回治療後の計画的な化学療法入院、終末期医療では医師・看護師・医療ソーシャルワーカーを中心としたチームでの緩和ケア入院にも対応しております。
化学療法を行うにあたりCVポートを使用して薬剤を注入することがあります。CVポートとは皮下埋め込み型ポートと言われるもので、ペットボトルのキャップ程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されており、中心静脈から抗がん剤を投与するために用いる機器です。この手術も当院で行うことができます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 38 16.32 78.84
重症 11 136.36 88.45
超重症 2 54.00 90.00
不明 - - -
 当院の患者数で最も多いのは重症度2~3の患者様となっております。平均年齢を見てみますと中等症で78歳、重症で88歳と高齢になっており、成人市中肺炎は高齢になるほど重症になること、及び長い治療期間が必要になることが分かります。治療は呼吸不全の管理、薬剤投与が中心で、人工呼吸器、NPPV等の機器を活用し、患者様の病態に応じた呼吸管理を行なっております。
脳梗塞の患者数等
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 10 35.10 87.10 0.00%
その他 14 79.93 80.86 20.83%
北後志唯一の公的基幹病院であり、緊急性のある疾患に迅速に対応できるよう、24時間365日患者様を受け入れ、64列CT・1.5テスラMRI等高度医療機器を使用できる体制を整えておりますが、超急性期脳梗塞には専門的な治療を要するため、脳血管内治療専門医がおります小樽市立病院脳卒中センター等に転院搬送する場合もあります。
当院の脳梗塞入院は、発症後3日以内の急性期脳梗塞が全体の約4割占めております。平均年齢は87.1歳で高齢の方が多くなっております。治療は脳保護法として活性酸素除去剤(エダラボン)を用いて活性酸素(フリーラジカル)を低減、脳梗塞による被害を軽減すること、高気圧酸素療法が可能となっております。また、急性期治療終了後には回復期リハビリテーション病棟にて在宅復帰に向けた継続リハビリテーションも可能となっております。(後方支援病院として在宅復帰に向けた、脳血管疾患のリハビリテーション目的の転院も積極的に受入れを行っております)
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 12 1.30%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
 敗血症について、入院契機の傷病名と異なるものは1.3%と1%を超える結果となりました。内訳は主に癒着性イレウスや消化管穿孔などの様々な原因から全身状態が悪化し、敗血症性ショックに至ってしまった症例となっております。
 その他の疾患については10症例未満の結果となっており、敗血症含め臨床的に根拠のないアップコーディング(高額な診療点数請求目的)は行われていないと考えております。
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