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2026年1月5日
新年明けましておめでとうございます。
ここ数年、災害や事故、あるいは紛争などのニュースが多く、心からめでたいとは感じ難いのですが、とにかく新しい年に希望を込めて、新春を迎えられた事を皆様とともに慶びたいと思います。
その新しい年、令和8年は医療にとってどういう年なのか、極めて個人的な部分もございますが、展望とそれに基づく方向性などを述べさせていただきます。
今年は間違いなく日本の「医療衰退元年」です。危機的状況はこれまでに経験したことがなく、複雑かつ深刻です。
まず、全国的に真っ当な診療を行ってきた病院の8割が赤字を強いられている現実があります。その結果、内部的にはスタッフに充分な報酬を与えることができない、機器/設備の更新が滞る、院舎建て替えなど夢物語、また対外的には診療の制限、とりわけ救急・時間外対応の縮小といった状況に追い込まれています。
その原因として、患者さん特に高齢者の受療動向の変化、不適切な診療報酬などが挙げられていますが、私が特に申し上げたいのは次の2点です。
一つ目は、医療の現場の悲観的な状況から、若い人たちが立ち去っている、あるいは数年前から顕在化した看護師等養成施設の定員割れが、さらに加速している、つまり医療の人材がはっきりと減少してきていること、そしてそれを戻す方策が見当たらないことです。今度の診療報酬はプラス改定、特に待遇改善に重点が置かれることになっていますが、若者の関心はすでに医療から離れており、これだけでは効果は限定的です。
二つ目は、行政主導で推進されている医療のIT化/DX化です。これらは病院運営を良い方向に導いているのでしょうか?
例として電子カルテを挙げてみます。電子カルテは多職種で情報を共有できる、オーダーリングが速やかにでき、間違いが少ないなど利点もあります。しかし導入時にメーカーが強調した①人件費の節約②ペーパーレス③業務効率化④これらによる経費削減効果、はどうでしょうか。いずれもその逆になっているのではありませんか?数千万〜数億円もする高額な買い物をして、宣伝文句とは反対の結果がもたらされたら、普通は詐欺行為と非難されるべきです。さらに、7〜10年経でパソコンの部品供給を途絶えさせ、あるいはO S更新のためと称して、丸ごと入れ替えが必要となっており、再び高額の費用が発生します。
私はI Tを否定する者ではありません。注意すべきは、I T提供側にとって病院とは「出来損ないの高額商品を、文句言わずに使って数年毎に入れ替えまでしてくれる上得意様、たやすくあしらえる永久の小作人」と考えている事なのです。
つまり、医療のIT化/DX化は収入の上限が規定されている病院経営に、高額の支出を恒常的に強いるという負の側面を持っていること、加えてネット社会ではサイバー攻撃の脅威を完全には払拭できないということを申し上げたいのです。
このように、人材不足と恒常的な出血から、利益を確保できず全国で病院経営が行き詰まり、日本の医療が衰退するというのが、私個人の展望です。
それでは、私たち北社協はどうすれば良いでしょうか。
病院運営に関しては、適材を適所に投入する事ことが重要と考えます。それも個々の病院という枠を超えて七つの病院間で大胆かつ機動的に進める必要があります。
例えば、すでに昨年末から行われていますが、看護基準割れを回避するために他の病院から支援要員を回すとか、リクルートしやすい病院で人材を確保し、兄弟病院と共用するなど、収入増が見込めるなら積極的に実施する所存です。こういった施策は目新しいものではありません。しかし、我が北社協では歴史的にそのような相互支援の気運が薄かったため、今般の様な危機的状況だからこそ、皆がその意識をしっかりと持っていただくよう強く期待します。
最後に繰り返しますが「人材不足と恒常的な出血」にどう対処するか、これが肝要です。今こそ2,800人の力を結集し、共に困難を乗り越えましょう。
令和8年 元旦
社会福祉法人 北海道社会事業協会
理事長 吉田 秀明
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