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部門:臨床検査科

臨床検査科

臨床検査科は、患者様を対象とした診療を行う部門ではなく、医師の指示のもと様々な検査を行う部門です。受診時における採血、採尿、および採便などから我々臨床検査技師が、各分野(生化学検査・血液検査・免疫検査・一般検査・輸血検査・感染症検査:微生物検査や遺伝子検査など)の検体検査、および心電図・脳波・聴力・心エコーなどの生理機能検査を行います。これらを総合したものを『臨床検査』と呼び、14名の臨床検査技師により24時間体制で業務を行っております。

生化学・免疫学検査

採血管に採取した血液を遠心分離すると、血球の層と液体の層に分かれます。その液体成分を血清または血漿(採血管の種類で変わる)といい、これらを使用して検査を行っています。
生化学検査とは、酵素やミネラル、たんぱく質、脂質、および血糖などが測定目的物質であり、様々な原理を用いて化学反応を起こさせ、測定目的物質がどのくらいあるかを数値化させるものをいいます。
免疫学検査とは、抗原や抗体、腫瘍マーカー、心筋梗塞マーカー、薬剤、およびホルモンなどの大きさの小さい物質が測定目的物質であり、抗原抗体反応を原理として利用し、測定目的物質がどのくらいあるかを数値化させるものをいいます。
これらの検査によって、各種臓器機能の評価や様々な疾患の診断や補助、治療効果や予後の判断などにつながっています。

Atellica Solution(SIEMENS)

Architect(アボット)

血液検査

■血液一般検査
血液検査は、血液中の白血球数や赤血球数などを検査する血液一般検査と、血液中の白血球の細胞分類を行う血液像検査があります。血液一般検査では、貧血の指標となるヘモグロビン濃度も同時に検査しています。これらの検査は自動分析装置を用いて行っております。血液像検査では主に5種類の細胞(好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球)を分類しますが、血液疾患(白血病等)ではこれらの細胞以外にも異常な細胞が出現します。血液像検査も自動分析装置を用いて検査しますが、異常細胞が出現しているような場合では、様々な染色法を駆使し顕微鏡を用いて判定します。以下は、当科で使用中の血液自動分析装置です。


ADVIA2120i(SIEMENS)

■凝固線溶検査
血液の固まりやすさなどを調べる検査が凝固検査です。当科では、以下の自動分析装置を用いて検査しております。主な項目は、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、フィブリノーゲン濃度、AT-Ⅲ、FDP、D-ダイマーです。これらはDICの診断や、抗凝固薬の治療効果判定にも活用されております。


STACIA(PHC)

上記のSTACIAでは、凝固検査以外にも、アンモニア、H-FABP、各種TDM、KL-6、sIL-2R、PR3-ANCA、MPO-ANCA、MMP-3などの生化学的検査も行っております。

一般検査

一般検査は、血液以外の検査材料(尿、髄液、関節液、腹水、胸水、心嚢液、精液、CAPD廃液、便など)を扱い検査します。その他にもインフルエンザなどの感染症迅速検査も行います。よく行なわれる尿、便の検査は非侵襲的に繰り返し行うことのできるスクリーニング検査です。

■尿検査尿定性・沈渣検査は主に腎臓や尿路の病態が把握できる検査です。
尿検査でわかること…尿糖、ビリルビン、ケトン体、比重、潜血、pH、蛋白、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球などがわかります。

当院で使用されている分析器…Novus(尿定性)、USCANNER(尿沈渣)、連結器です。

■髄液検査
髄液検査は中枢神経の病態を把握することができる検査です。髄膜炎や脳炎を疑うとき細胞数や細胞の種類、蛋白量などを検査します。

■関節液検査
関節液中の白血球や結晶の有無を検査します。痛風では尿酸結晶を認めたり、リウマチなどの炎症性疾患では白血球が増加します。

■便潜血検査
便中のヘモグロビンを検査することで大腸がんなどの腸内に出血がある疾患の診断に役立ちます。

当院で使用されている分析器…FOBIT WAKO3(便潜血)

血液ガス

血液ガス分析で、pH、二酸化炭素分圧(pCO2)、酸素分圧(pO2)、電解質、乳酸、ヘモグロビンといったその他の重要な情報とともに測定することにより、重篤な患者の呼吸および代謝状態に関する情報を得ることができます。当院では検査室、救急外来および手術室に計3台の機器を設置し365日24時間対応しております。精度管理システムにて17項目を検査室の端末から監視し、何時でも管理された適切な結果を提供しております。


ABL90 FLEX(RADIOMETER)

輸血検査

輸血検査は、輸血全般の知識を持った臨床検査技師が、安全で適正な輸血が行われるように365日体制で正確、迅速に業務を行っております。
輸血検査は大きく分けて2つの業務を行っております。

1. 輸血前の検査
① 血液型検査
ABO血液型、Rh血液型を検査します。
血液型不適合が起こらないように、輸血を行う前には必ず血液型検査を院内で2回実施しています。ここでは、2回目の血液型検査を行い、患者さまと同じ血液型の輸血用血液を

 選択します。
② 不規則抗体検査
不規則抗体とは、ABO血液型の抗A、抗B以外の血液型に対する抗体のことで、妊娠や過去の輸血などによって産生される場合があります。溶血性輸血副作用など起こす場合が
ありますので、輸血前に検査を行います。
不規則抗体が陽性の場合は、患者さまがもつ抗体と反応を起こさない血液を選択する必要があります。
③ 交差適合試験
患者さまの血液と輸血する血液が適合するかを確認する検査で、輸血後の起こる副作用を未然に防止する最終的な確認検査で、大変重要な検査です。
これらの検査は、全て自動分析器(IH-500)を使用しております。

IH-500(BIO-RAD)

2. 輸血用血液の保管・管理
輸血用血液製剤は、血液センタ―より供給しており、一定の単位数を常備しております。
血液製剤の管理は、輸血管理システムで
行っており、血液製剤の入出庫・在庫の管理、また患者さまの輸血歴および検査歴などのデータも保管しております。その他、自己血の保管・管理も行っております。
血液製剤については、適切な温度で管理されている専用の保冷庫で保管しております。

微生物検査

 微生物検査室では、一般的な微生物検査(一般細菌・抗酸菌・真菌・寄生虫など)の他に、β-Dグルカンやエンドトキシンといった感染症マーカーの測定、尿中抗原(肺炎球菌・レジオネラ)、イムノクロマトグラフィー法を用いたノロウイルス等の感染症迅速診断検査を行っております。また、抗MRSA薬であるバンコマイシンの血中濃度測定や、遺伝子検査法としてLAMP法やPCR法を導入し、培養困難な微生物の検出や、薬剤耐性菌遺伝子検出等も行っております。365日体制で業務を行っております。
使用機器は、薬剤感受性試験にDxM マイクロスキャンWalkAway(BECKMAN COULTER)、血液培養にBACTEC FX(Becton,Dickison)、β-D-グルカン・エンドトキシンの測定にトキシノメーターMT6500(富士フィルム和光純薬)、LAMP法にLoopampEXIA(栄研化学)、PCR法にLightCycler(ロシュ)、Thermal Cycler Dice(Takara)、GENECUBE(TOYOBO)、GeneXpert(ベックマン・コールター)、FilmArray Torch(ビオメリュー)、エリート インジーニアス(PSS)、菌種同定に質量分析装置(MALDIバイオタイパー シリウス:Bruker Daltonics)、抗酸菌培養にMGIT320(Becton,Dickison)を使用しております。


DxMマイクロスキャンWalkaway

BACTEC FX

MALDI Biotyper


MGIT320

■微生物検査
1)塗抹検査:主にグラム染色が主体となりますが、感染症初期治療に貢献できるよう迅速な結果報告を心がけております。
2)同定検査:近年、新しい菌種同定法として質量分析法を用いた技術が取り入れられるようになりましたが、当院でも2015年12月より質量分析装置(MALDIバイオタイパー)を導入し、さらなる精度向上、報告スピードアップを図っております。
3)薬剤感受性検査:一般的な細菌にはMicroScan WalkAwayを使用し、それ以外の特殊な細菌にはドライプレートを用いて菌種に関わらず実施できる体制を整えております。また、1年に1度、アンチバイオグラムを作成し感染症初期治療に役立ててもらうよう臨床へフィードバックしております。
4)遺伝子検査:2012年3月より、LAMP法を用いてマイコプラズマ肺炎の原因菌であるMycoplasma pneumoniaeのDNA検出を開始しております。また、2014年7月からは百日咳菌のLAMP法も開始しております。さらに、リアルタイムPCR法を用いて、薬剤耐性菌の耐性遺伝子検出等も実施しております。遺伝子検査は診療科(特に小児科)の臨床研究としても使用されております。
■医療関連感染対策業務
医療関連感染対策業務として、感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT)が感染制御部/ICTに兼任として加わっております。また、分子疫学解析としてPOT法を用いて新規検出MRSAの解析を行っております。
■その他
当院は認定臨床微生物検査技師制度の研修施設として認定されております。

生理機能検査

生理機能検査は検査担当者が直接患者様に接して行う検査の総称です。当院で行なわれる生理機能検査には、心電図検査、超音波検査、肺機能検査、脳波検査、聴力検査等があります。患者様の立場にたって、安心して検査が受けられるよう知識と技術の向上に励んでいます。

■心電図検査
心臓が全身に血液を送り出す時に発生する微弱な電気を波形として記録し、心臓の働きを調べる検査です。狭心症や心筋梗塞、不整脈などを調べることができます。検査の際は胸、手首足首に電極をつけて記録をします。

■超音波検査
超音波(エコー)は人の耳には聞こえない高い周波数の音波を利用して、体の内部の状態を観察診断する検査です。超音波検査は非侵襲的な検査なので産科領域の赤ちゃんにも使われます。当科では心臓・血管領域(頸動脈・上肢動静脈・下肢動静脈)のエコーを行なっています。

■肺機能検査
肺の働きを調べる検査です。ぜんそくや呼吸器疾患の診断、経過観察のほかに、手術前検査、治療薬の効果判定のためにも行われることがあります。患者様の努力が検査結果に反映されますので、患者様の努力と協力が必要になる検査です。

■脳波検査
頭に1cm 程度の小さな皿状の電極をたくさん付け、脳の電気的活動を見る検査で、けいれんやてんかんの診断に役立ちます。
検査には40分~1時間ほどかかります。部屋を暗くし睡眠をとるような状態で記録をしていきます。途中開閉眼、深呼吸をしていただくこともあります。小児、特に乳幼児ではお薬を使って眠っていただくことが多いので、検査当日はお昼寝をさせず、睡眠不足の状態で検査を受けることが望ましいです。
   

■ABI/CAVI
両手、両足の血圧を同時に測定し、血管の硬さやつまりの程度を調べる検査です。閉塞性動脈硬化症(ASO)の発見に有用な検査です。

■新生児聴覚スクリーニング検査 (aABR)
赤ちゃんの頭に3か所の電極をつけ、専用のイヤフォンから小さな音を聞かせ、簡易的に電気的反応をみて聴力の異常を発見する検査です。当院出生のお子さんは出生後退院までの間に実施し、当院以外出生のお子さんでも生後6か月以内なら検査することができます。
     

■その他の検査
ホルター心電図検査 (24時間心電図検査)
24時間血圧測定検査(ABPM)
負荷心電図検査(マスター2階段検査、トレッドミル検査)
簡易睡眠時無呼吸検査 (SAS)
聴力検査(標準純音検査・ティンパノグラム他)
平衡機能検査
聴性脳幹反応(ABR)
皮膚組織灌流圧検査(SPP)

などを行っています。

当科では質の高い臨床検査を提供するために、各種精度管理、学生教育、新規検査試薬の検討等を行っております。これらの取り組みは、検査に使用した患者様の残余検体を再利用させていただくことで継続して行うことが可能となります。残余検体の使用に関しましては、お名前などの個人情報は匿名化し個人を特定できないようにし、日本臨床検査医学会の見解に遵守しておりますので、ご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。なお、残用検体の再利用に承諾いただけない場合はお申し出くださりますと幸いです。承諾の可否により診療内容に影響することはございません。

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