北海道北後志圏の地域医療に従事・貢献する北海道社会事業協会 余市病院
文字サイズ
余市病院 =
「真の地域医療」実践の場
余市病院 院長 吉田秀明
当院は北後志五ケ町村(余市町、仁木町、赤井川村、古平町、積丹町:人口3万1千人)における本格的な入院治療に対応できる唯一の基幹病院です。地理的には小樽、札幌にも近いのですが、圏域の遠いところから当院までは車で1時間以上要するため、救急・一次医療はもちろん、二次医療さらに疾患によっては三次医療まで対応しています。また、他の医療機関や介護・養護施設とも密接に連携し、その完全バックアップを受け持ち、さらに在宅医療にも対応するなど、生活圏域に必要とされるインフラとしての医療要素をすべて備え、実践してきました。
診療内容は標準以上の水準で提供できるよう、限られた人員、設備、環境の中で工夫・努力してきました。
余市医師会のキャッチコピーは
「地域医療のメッカ」です
ところで、余市病院もそうですが、地方の病院はどこも医師や看護師をはじめとする医療スタッフの確保に苦慮しています。当院はその対策としていくつかの独創的な施策を展開しています。
その第一は、医師臨床研修制度(医師免許取得後2年間の義務)の必須科目である「地域医療・保健」の研修協力病院として、複数の研修基幹病院と契約し、2年目の研修医を多数受け入れてきたことです。 研修医とはいえ2年目にもなると立派な戦力であるとともに、我々職員にとっては、最新の高レベルの教育を受けたフレッシュで意欲的な医師と協働することは、とても良い刺激になります。つまり、医師不足を補い、かつ診療のレベルを高めるという効果があるわけです。現在までに延べ160名以上の研修医が余市を体験して行きました。
次に「地域医療国際支援センター」の取り組みです。これはザックリ言うと、渡航時でも基本給を補償するという条件で、海外での医療支援を指向する医師らを全国から集めようというものです。余市に在職すれば金銭・福利厚生面の不安なく海外支援もできるというアドバンテージがあり、斬新な試みとして注目されています。
上記の他にも、医学部学生、看護学生、各種セラピスト学生、などを積極的に多数受け入れ、余市病院をまずは知ってもらうよう努めています。 一方、地域密着の施策として、救急隊との研修会、中学校への初期救命処置の出前講習会を定期的に行ってきました。これらを通して、医療職への関心を高めてもらい、将来、北後志の地域医療を担う人材を目指してもらうよう期待しています。
最後に、余市病院は道内7つの協会病院の中で一番小規模な病院ですが、地域の皆様、行政からの多大なる御理解と御支援により、健全運営を続けることができております(余市と同規模の公立病院は年間2〜3億円以上の赤字)。ここにあらためて地域の皆様・行政担当の方々に感謝申し上げます。
医療・介護・福祉は生活圏に絶対必要なインフラですが、余市病院は北後志においてその重要な一翼を担い続けるよう、努力を続ける所存です。
余市病院職員スローガン
私たちは、患者様の笑顔、地域への貢献、自らの幸せ、を求めます